結論:環境構築で迷う原因は「OS差」ではなく“前提(ターミナル/PATH/権限/WSL)”の違い
MacとWindowsの環境構築がややこしく感じるのは、手順が難しいからではなく、手順の前提が違うからです。
- Mac:ターミナル(zsh)+Homebrewが中心。Linuxに近い前提の教材と相性が良い
- Windows:PowerShell中心。ただし教材がLinux前提ならWSL(Windows内のLinux)に寄せたほうが早い
この記事では、初心者が「自分のOSに合う手順」へ迷わず辿り着くために、Homebrew/WSL/PATH/権限の“つまずきポイント”をチェックリスト化し、さらにWSLとVS Code連携(Remote – WSL)まで含めて解説します。
最初にこれだけ:3つ確認すると「読むべき手順」が確定する
環境構築で詰む人の多くは、インストール以前に「前提」を取り違えています。最初に次の3つだけ確定してください。
確認1:OSとバージョン
- Mac:「 > このMacについて」
- Windows:「設定 > システム > バージョン情報」
確認2:CPU(ここが意外と重要)
- Mac:IntelかApple Silicon(M1/M2/M3…)か
- Windows:x64かARMか(Surfaceなど)
確認3:教材・記事が“どのターミナル前提”か
- Mac:Terminal(zsh)前提が多い
- Windows:PowerShell前提/WSL(Linux)前提/Git Bash前提が混在しがち
超重要な見分け方:教材に sudo / apt / ~/ / ls が頻出するなら、ほぼLinux前提です。WindowsならWSLを使うほうが迷いが減ります。
MacとWindowsでズレるポイント5つ(ここを知るだけで9割ラクになる)
1)インストール方法:Homebrew vs winget/WSL
- Mac:Homebrew(brew)でまとめて入れるのが定番
- Windows:winget(標準)で入れる/Linux前提ならWSL内でaptで入れる
2)PATH(パス):Windowsは“二重構造”で混乱しやすい
「入れたのにコマンドが見つからない」の多くはPATHが原因です。
- Mac:.zshrcなどに追加して整えやすい
- Windows:ユーザー環境変数とシステム環境変数があり、インストーラごとに挙動が違う
3)権限:Windowsは管理者権限・会社PC制約で止まりやすい
- Mac:sudoが必要な場面はあるが、個人PCなら比較的進む
- Windows:管理者権限が必要なケースが多く、社用PCは詰みやすい
4)ファイルパスの表記:/Users/… と C:… と /home/… が混ざる
コピペした設定のパスが合わずにエラー、が頻発します。WSLを使うとさらに「Linux側のパス」が登場して混乱しがちです。
5)改行コード:LFとCRLF
Windowsで作ったファイルをWSL(Linux)で実行すると、改行コードの違いでシェルスクリプトが動かないことがあります。初心者ほど「原因不明」に見えるので要注意です。
どの手順を選べばいい?初心者向け“最短ルート”早見表
ここを決めると、あとは一本道です。
| あなたの状況 | おすすめルート | 理由 |
|---|---|---|
| Macで学習(教材がLinux寄り) | Macネイティブ(Terminal+Homebrew) | 教材の前提と一致しやすい |
| WindowsでWeb制作中心(教材がWindows手順) | Windowsネイティブ(PowerShell+winget) | Windowsの仕組みのまま進められる |
| Windowsで教材がLinux前提(sudo/apt多い) | WSL+VS Code(Remote – WSL) | 教材どおりに進められて迷いが激減 |
WindowsでWSLを使うときの「考え方」と落とし穴(VS Code連携がカギ)
WSLは「Windowsの中にLinux環境を作る」仕組みです。Linux前提の教材をWindowsで学ぶなら、WSLに寄せたほうが成功率が上がります。
WSLの構造を図で理解する(文字だけでOK)
Windows(ホストOS) ├─ Windowsのファイル:C:\Users\あなた\... ├─ Windowsのターミナル:PowerShell / Windows Terminal └─ WSL(Linuxが動く領域) ├─ Linuxのファイル:/home/あなた/... └─ Linuxのターミナル:Ubuntuなど(bash/zsh)
初心者の鉄則:WSLを使うなら、プロジェクトはLinux側(/home/…)に置くのが安全です。Windows側のフォルダ(Cドライブ)をWSLから触ることもできますが、パスや速度、改行コードで余計なトラブルが増えます。
WSLで詰む最大ポイント:エディタでLinux内ファイルをどう編集する?
WSL側で開発する場合、Windows上のVS Codeで快適に編集するには「Remote – WSL(WSL拡張機能)」がほぼ必須です。
- VS Codeに「Remote – WSL」を入れる
- WSL内でプロジェクトフォルダに移動して
code .を実行 - WindowsのVS Codeが、WSL内のファイルを“直で”編集できる状態になる
これがないと「Linux側のファイルをどうやってWindowsのエディタで開くの?」で止まりやすいので、WSLを選ぶならセットで覚えるのが最短です。
Macの環境構築:HomebrewとApple Siliconの“パス問題”を先に潰す
Macは比較的スムーズに進むことが多いですが、Apple Silicon(M1/M2/M3…)だけはHomebrewのインストール先がIntelと違うため、PATHが通らずに詰みがちです。
Apple SiliconのHomebrewは「/opt/homebrew」になりやすい
- Apple Silicon:
/opt/homebrew - Intel:
/usr/local
この違いのせいで「brewは入ったはずなのにコマンドが見つからない」が起きます。対処はシンプルで、Homebrewが表示するpath add command(PATHを通すコマンド)をそのまま実行し、ターミナルを再起動すること。
ポイントは「sudoで無理やり解決しようとしない」ことです。PATHの問題はsudoで解決しません。
【トラブルシューティング】「command not found」「コマンドが見つからない」ときの確認フロー
パニックのまま検索すると、別OS向けの手順に飛びやすく、余計に泥沼になります。ここは順番が決まっています。
Step1:いま開いているのはどのターミナル?(前提違いを潰す)
- Mac:Terminal(zsh)
- Windows:PowerShellなのか、WSL(Ubuntu等)なのか
WindowsでLinux教材をやるなら、PowerShellではなくWSLで実行しているかを最初に確認します。
Step2:バージョン確認で「入っているか」を確定する
入っていないのか、PATHが通っていないのかを切り分けます。bash git --version node -v python --version
Step3:PATHの“実体”を確認する(ここが最強)
同じコマンド名が複数入っていると、意図しない方が動いて事故ります。どれが動いているかを見ます。
Mac / Linux:bash which node echo $PATH
Windows(PowerShell):※PowerShellの where は別物なので、必ず where.exe を使います。powershell where.exe node $env:Path
Step4:権限・会社PC制約・セキュリティを疑う
インストールが途中で失敗する、そもそも実行がブロックされる場合は、権限や社用PCの制限が原因のことがあります。
- 管理者権限が必要な操作をしていないか
- 会社PCでアプリのインストールが制限されていないか
- セキュリティソフトが隔離していないか
【具体例】WindowsでLinux教材をやって詰んだ人が、最短で復帰する手順
例:Windowsのあなたが、教材どおりに sudo apt update をPowerShellに貼り付けてエラーになった。
この時点で、原因はほぼ「前提違い」です。最短復帰の流れはこうです。
- 1)判断:sudo/aptが出ている=Linux前提 → WindowsはWSLを使う
- 2)WSLを起動:Ubuntu等のWSLターミナルで同じコマンドを実行
- 3)作業場所を固定:
/home/あなた/配下にプロジェクトを作る - 4)VS Code連携:Remote – WSLを入れて、WSL内で
code .
この4つで「教材と同じ土俵」に立てるので、環境構築の迷子が激減します。
よくある失敗5選と回避策(初心者が時間を溶かすパターン)
失敗1:Mac手順をWindowsにコピペする(または逆)
回避策:手順がPowerShell前提か、WSL前提か、Mac前提かを最初に確認する。
失敗2:WSLを入れたのに、プロジェクトをCドライブで作って混乱
回避策:WSLでやるなら作業場所は/homeに固定する(Windows側ファイルを触るのは後で)。
失敗3:同じ言語が複数入り、どれが動いているか分からない
回避策:which / where.exe で実体を確定してから進む。
失敗4:Apple SiliconのbrewでPATHを通さず詰む
回避策:Homebrewの案内どおりにpath add commandを実行し、ターミナル再起動までやる(/opt/homebrewを意識)。
失敗5:権限・会社PC制約を見落として無限に検索する
回避策:インストールができない状況なら、早めに「個人PCで再現」「管理者に相談」に切り替える。
すぐできるチェックリスト(この記事の要点を1枚に)
- OS(Mac/Windows)とバージョンを確認した
- CPU(Intel/Apple Silicon、x64/ARM)を確認した
- いま使っているターミナルが何か確定した(Mac Terminal / PowerShell / WSL)
- 教材がLinux前提か判断した(sudo/aptが多い=WSL推奨)
- インストール後に
--versionが通るか確認した - コマンドが見つからないとき、
which/where.exeで実体を確認した - WindowsでWSLを使うなら、Remote – WSLでVS Code連携できる状態にした
- Apple Siliconなら
/opt/homebrewを意識し、PATH追加まで済ませた
まとめ
環境構築で迷う原因は、OSの優劣ではなく前提の違いです。MacはHomebrew中心でLinux教材と相性が良く、WindowsはPowerShell中心ですが、Linux前提の教材ならWSLに寄せるほうが成功率が上がります。
詰まったら焦って別記事を探す前に、まず「自分はいまどのターミナルで何をしているか」を確定し、which / where.exe で実体(PATH)を確認してください。これができるだけで、環境構築の事故は一気に減ります。
次にやること(3ステップ)
- ステップ1:OS・CPU・ターミナル(PowerShellかWSLか)を確定する
- ステップ2:教材がLinux前提ならWSL+Remote – WSL、そうでなければOSネイティブ(Macはbrew、Windowsはwinget)で進める
- ステップ3:詰まったら「–version → which/where.exe → PATH/権限」の順で切り分ける

