Webサイト保守・運用代行の始め方|平日1時間で回る継続契約の作り方

「Webサイトの保守・運用代行を副業にしたいけど、もし自分の作業でサイトが真っ白になったら……」
「本業がある平日の昼間にトラブルが起きたら、対応できないしどうしよう?」

継続収入につながりやすいWebサイト保守・運用代行は魅力的ですが、初心者が尻込みする最大の理由は“責任の重さ”です。ここを曖昧にしたまま受けると、月数千円の契約でも大きなトラブルに発展する可能性があります。

ただし、保守運用で失敗しないために必要なのは高度な開発力ではありません。必要なのは、①守備範囲(やること・やらないこと)を明確にし、②事故を防ぐ手順(SOP)を用意し、③もしもの時に備える契約と保険を整えることです。

この記事では、30代会社員・副業初心者(平日1時間)を想定して、保守運用の仕事内容から、継続契約を取るための商品設計損害賠償リスクへの備えまでを手順書としてまとめます(受注や収益を保証する内容ではありません)。法務の個別助言はできないため、契約書の作成・確認は、必要に応じて弁護士等の専門家や雛形サービスの活用をご検討ください。

この記事で分かること

  • Webサイト保守・運用代行の仕事内容(初心者が担当しやすい範囲)
  • 継続契約を取りやすい「定型メニュー」の作り方
  • 責任範囲の線引きと、損害賠償リスクに備える契約・保険の考え方
  • WordPress更新、バックアップ、軽微修正、監視を“事故らず回す”手順
  • 平日1時間で回す運用ルーティンと、継続化のコツ

Webサイト保守・運用代行とは?「保守」と「運用」に分けると迷わない

「保守運用」は言葉が広く、初心者ほど“何でも屋”になりがちです。最初に、業務を2つに分けて考えましょう。

保守(メンテナンス):サイトを“壊さない・止めない”ための作業

  • WordPress本体、テーマ、プラグインの更新
  • バックアップ取得(自動化が基本)
  • 不正ログイン対策(2段階認証、権限管理、ログインURL変更など)
  • 障害の一次対応(原因切り分け、復旧、ホスティング連絡)
  • 稼働監視(落ちたら通知)

運用:サイトを“回す・育てる”ための作業

  • 軽微修正(テキスト差し替え、画像差し替え、リンク修正)
  • 投稿更新代行(WordPress更新)
  • 簡易レポート(作業ログ、改善提案メモ)

副業初心者が最初に狙いやすいのは、「保守+軽微修正」の継続契約です。理由はシンプルで、成果(売上や順位)を保証する話ではなく、作業範囲が合意しやすいから。つまり、線引きさえできれば“安定型の副業”になりやすい領域です。

最初に押さえる最重要ポイント:損害賠償リスクは「契約書」と「保険」で下げる

ここが今回の肝です。保守運用で怖いのは、作業ミスやサイバー攻撃などでサイトが停止し、クライアントから損害を請求されるケースです。実際にどこまで責任を負うかは契約内容や状況で変わるため断定はできませんが、初心者が“無防備”で受けるのは危険です。

「合意文」ではなく、業務委託契約書(または発注書)で合意を残す

口約束やDMだけだと、トラブル時に話が食い違いやすいです。難しい法律用語が分からなくても、最低限、次の項目を契約書/発注書として残すのが現実的です(雛形+専門家チェックが安心)。

  • 業務範囲:保守でやること/運用でやること(軽微修正の定義)
  • 対応時間:平日◯時〜◯時、返信目安、作業は夜間に行う等
  • 緊急対応:緊急の定義、初動(連絡)までの時間、実作業はいつ行うか
  • 外部要因:ホスティング障害、外部サービス障害、第三者攻撃などの扱い
  • 損害賠償:賠償範囲の考え方、上限(例:月額報酬の◯ヶ月分など)
  • 再委託・下請け:必要なら可否を明記
  • 秘密保持:ログイン情報・顧客情報の取り扱い(必要ならNDA)

特に重要なのが「損害賠償の上限」です。副業で引き受ける以上、リスクが青天井にならない設計を“事前に”作る必要があります。条文の書き方は案件で変わるため、雛形サービスや専門家の確認を強くおすすめします。

フリーランス賠償責任保険で「最悪の一撃」を軽くする

契約で線引きしても、ゼロにはできません。そこで現実的な防御策が損害賠償に備える保険です。

例として、FREENANCE(フリーナンス)はフリーランス向けの「あんしん補償」を案内しており、業務中の事故や納品物の欠陥等による損害賠償をカバーする仕組みがあります(補償内容・条件は必ず公式で確認してください)。

また、フリーランス協会でも賠償責任保険を含む福利厚生プランが案内されています。

保険は「入れば安心」ではなく、対象外(免責)や上限、事故対応フローを理解して初めて役に立ちます。副業で保守運用を受けるなら、契約とセットで検討すると安心感が段違いです。

初心者が最初に作る商品設計:継続契約は「3コース+オプション」で事故を防ぐ

保守運用は、サービスを広げすぎるほど責任が肥大化します。最初からコース制にして「やること」を固定してください。

コース含める内容(例)含めない内容(例)おすすめ相手
保守ライト月1更新(WP/テーマ/プラグイン)・バックアップ・簡易点検軽微修正、緊急対応、機能追加更新が怖くて止まっている人
保守+運用ベーシック更新・バックアップ・監視・軽微修正(上限あり)・作業ログ大幅改修、デザイン刷新、フォーム改修日々の困りごとが多い人
保守+運用しっかり上記+月次レポ・改善提案・作業枠多め成果保証(売上/順位)、広告運用事業サイトとして育てたい人

ポイントは、「月に使う最大時間(上限)」を先に決めること。これができると、平日1時間でも回りますし、価格設定もブレません。

相場感が不安な人へ:まずは“レンジ”だけ知っておく

価格はサイト規模・緊急対応の有無・対応範囲で大きく変わるため断定はできませんが、公開情報では、個人・小規模サイトの保守が月額3,000〜10,000円程度、中規模で10,000〜30,000円程度といったレンジが紹介されることがあります。

ただし、安さだけで受けると「緊急対応無料」「修正無制限」などで詰みやすいので、初心者は“作業枠の上限”と“追加料金のルール”を必ずセットにしてください。

標準手順(SOP):WordPress更新・バックアップ・復旧を“事故らず回す”

保守運用の価値は、スーパーテクニックより標準手順(SOP)にあります。初心者は、手順を固定して自分を守りましょう。

更新(アップデート)の正しい順番

  • 0)事前:作業前バックアップ(ファイル+DB)
  • 1)更新順:プラグイン → テーマ → WordPress本体(原則)
  • 2)確認:トップ、主要ページ、フォーム、決済(あれば)を点検
  • 3)問題発生時:切り分け(直前に更新したものを停止)→復元
  • 4)記録:作業ログ(更新内容、問題、対処)を残す

見落としがちな爆弾:サーバー側のPHPバージョン更新

WordPressの保守は「管理画面の更新」だけでは終わりません。サーバー側のPHPバージョンが上がったタイミングで、古いテーマやプラグインが互換性エラーを起こし、画面が真っ白(500エラー等)になる事例はよく知られています。

さらに、WordPress.org(日本語)では推奨要件としてPHP 8.3以上が示されています(運用環境はホスティングにより異なるため、必ず公式・サーバーの案内で確認してください)。

ここで重要なのは“線引き”です。あなたのメニューに、以下のどちらを採用するかを必ず明記しましょう。

  • A:保守に含める(例:四半期に1回、PHPバージョンと互換性を点検し、計画的に更新)
  • B:保守に含めない(例:サーバー設定変更・PHP更新は別見積もり/クライアント側対応)

初心者におすすめは、最初はBで安全運用しつつ、慣れてきたらAをオプション化して単価を上げる流れです。

バックアップは“二重化”が基本

  • バックアッププラグイン等で自動化(スケジュール実行)
  • ホスティング側の自動バックアップ(あれば)も併用
  • 保存先は同一サーバー内だけでなく、外部ストレージも検討

そして最大の落とし穴は、「取ってるつもり」になって復元できないことです。月1でもいいので、復元手順を文章化し、可能ならステージング等で手順確認しておくと安心です。

監視(ダウン検知)は“ツール名まで”提示:会社員はSLAを先に合意する

サイトが落ちたとき、気づけるだけで価値になります。初心者でも導入しやすい具体例として、UptimeRobotは無料プランで50モニター・5分間隔の監視が案内されています(プランや条件は変更される可能性があるため公式で確認してください)。

ただし会社員には現実問題があります。勤務中に通知が来ても、すぐ作業できないことが多いですよね。ここで揉めないために、契約前にSLA(サービスレベルの合意)を文章にしておきましょう。

会社員向けSLAの例(そのまま使える)

  • 検知→第一報:通知を受けたら、まずクライアントに状況を連絡(例:◯時間以内)
  • 復旧作業:実作業は原則「夜間(◯時以降)」または「翌営業日」
  • 緊急対応:即時対応が必要な場合はオプション(追加料金)
  • 外部要因:サーバー障害・DNS障害等は調査と連絡までを基本範囲

これを決めるだけで、「落ちたのに何で今すぐ直さないの?」問題をかなり防げます。

具体例:平日1時間の会社員が“継続契約”を取るまでの実務フロー

例:サトウさん(33歳・会社員)
WordPressは触れるが、保守の受託は未経験。責任が怖い。

サトウさんが最初にやったのは「スキルを増やすこと」ではなく、事故の起き方を潰す設計でした。

  • メニュー:保守+運用ベーシック(更新・バックアップ・監視・軽微修正)
  • 作業枠:平日1時間×週2回(上限を超える依頼は翌週 or オプション)
  • SLA:勤務中は第一報のみ、復旧作業は夜に実施
  • 責任範囲:機能追加・PHP更新・フォーム改修は別見積もり
  • 防御:業務委託契約書で範囲と賠償上限を合意+保険加入を検討
  • 成果物:月次レポ(作業ログ+次月の改善提案1つ)

提案で刺さったのは「何ができるか」より、「どう事故を防ぐか」でした。保守運用は“安心の積み上げ”が評価されるため、初心者でも正しい順番で進めれば継続契約につながります。

案件の取り方:初心者は「制作の後工程(保守だけ)」が最短

保守運用の顧客は、ゼロから探すより「すでにサイトがある人」を狙う方が早いです。特に狙い目は次の3つ。

  • 制作会社・フリーランスの下請け:制作後の保守だけ外注したい
  • 放置サイトのオーナー:更新が怖くて止まっている
  • 小規模事業者:軽微修正が積み残りやすい(メニュー、営業時間など)

提案文テンプレ(コピペして埋めるだけ)

  • 共感:「更新が怖くて止まっている状態、よくあります」
  • 提供:「更新・バックアップ・監視・軽微修正を定型で行います」
  • 手順:「作業前バックアップ→更新→点検→ログ記録の順で実施」
  • SLA:「勤務中は第一報、実作業は夜間/翌営業日。緊急対応はオプション」
  • 線引き:「機能追加・フォーム改修・PHP更新は別見積もり」
  • 安全:「契約書で範囲と条件を明文化して進めます」

“実績がない”より、“事故らない設計がある”ほうが信頼されます。

平日1時間で回す:保守運用の週間ルーティン(これだけでOK)

突発対応を減らすには、作業を予定化するのが一番です。初心者は次のルーティンで十分回ります。

週1回(30〜60分)

  • 監視通知・サーバー障害の有無を確認
  • バックアップ成功ログを確認(失敗していたら原因確認)
  • 更新の有無を確認(重大アップデートは時間確保して実施)

月1回(60分)

  • まとめてアップデート(SOP通り)
  • 主要ページ・フォームの動作チェック
  • 作業ログ作成→クライアントへ共有

都度(15〜30分)

  • 軽微修正(件数or時間で上限を決める)

副業で継続できるかは、気合ではなく上限の設計で決まります。

よくある失敗7選と回避策

失敗1:責任範囲が曖昧で、何でも依頼される

回避策:コース制+対応範囲の明文化。緊急対応はオプション化。

失敗2:サイトを壊してしまい、損害賠償が不安になる

回避策:契約書で「範囲」「SLA」「損害賠償の考え方・上限」を合意。さらに保険で備える(例:フリーランス向け補償の案内があるサービスを検討)。

失敗3:バックアップが“取れてるつもり”で、復元できない

回避策:成功ログ確認+復元手順の文章化(可能ならテスト)。

失敗4:サーバー側のPHP更新で真っ白になって詰む

回避策:PHP更新を「範囲内に含める/含めない」を明記し、互換性点検の手順を用意。

失敗5:監視は入れたが、会社員なので即対応できず揉める

回避策:SLAを事前合意(第一報と復旧作業の時間)。監視ツールの条件は公式で確認。

失敗6:軽微修正が膨らみ、開発案件になっていく

回避策:軽微修正の定義(例:文言・画像・リンク)を決め、機能追加は別見積もり。

失敗7:作業ログがなく、説明できない/信頼が積めない

回避策:作業ログは必須。月次レポで「やったこと」を見える化。

向いている人/向いていない人

向いている人

  • ルーティン作業を淡々と回せる
  • 「やらないこと」を決められる
  • 記録(ログ)を残すのが苦ではない

向いていない人(工夫でカバー可能)

  • 断れない(→上限と対応外をテンプレで守る)
  • 突発対応がストレス(→SLAと緊急オプションで設計)
  • 作業が雑になりがち(→SOP+チェックリストで補う)

まとめ:保守運用は「線引き・手順・防御」で初心者でも継続契約を取りやすい

Webサイト保守・運用代行は、派手さはないものの需要があり、継続契約につながりやすい副業です。一方で、責任範囲を曖昧にするとリスクが跳ね上がります。だからこそ、最初にやるべきは技術の上積みではなく、事故を防ぐ設計です。

  • 「保守」と「運用」を分け、定型メニュー(3コース)で提供範囲を固定する
  • SOP(バックアップ→更新→点検→ログ)で事故率を下げる
  • PHP更新など“地雷”は範囲内/外を明確にする
  • 会社員はSLA(第一報と復旧時間)を必ず合意する
  • 損害賠償リスクは、契約書と保険で現実的に下げる

次にやること(3ステップ)

  1. 今日:「やること/やらないこと/緊急対応の条件/SLA」を箇条書きで決める
  2. 今週:3コース+オプションを作り、SOP(更新手順)とチェックリスト、作業ログテンプレを用意する
  3. 来週:契約書(雛形ベース)で範囲・SLA・賠償の考え方を整理し、制作会社・知人・小規模事業者に「保守だけ」で提案する(必要に応じて保険も検討)

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