会計ソフトがまだ早い副業初心者でも、スプレッドシート(Googleスプレッドシート/Excel)で「最低限の帳簿」は作れます。やることは本当に3つだけです。
- 収入(売上)の記録:いつ・どこから・いくら入った(本当は“いつ稼いだか”も)
- 経費の記録:何のために使ったか・いくらか・証拠があるか
- 月次締め:月1回、合計して「所得(売上−経費)」を出す
さらに本記事では、年末に慌てないための「12月の年またぎ(期ズレ)対策」と、数式が苦手でもコピペで動く「関数リスト」まで載せます(一般情報)。
※税金の扱い(経費の範囲、保存期間、申告要否など)は個別事情で変わるため、迷ったら国税庁の案内や税理士等の専門家に確認してください。
帳簿は“簿記”じゃなく「事実の記録」でOK
「副業の帳簿って、簿記の資格がないと作れないんでしょ?」
「会計ソフトは毎月お金がかかるし、まだ売上が少ない自分には早すぎる……」
そう思って、レシートを財布に溜め込んでいませんか? 実は、副業の初期段階において、高機能な会計ソフトや難しい複式簿記は必ずしも必要ありません。
税務で基本になるのは、完璧な会計用語よりも、「いつ・誰からいくら入って、何に使ったか」という事実の記録です。これは、普段使っているGoogleスプレッドシート(またはExcel)さえあれば、無料で、今日から作れます。
この記事では、会計知識ゼロでも迷わず作れる「3枚シート運用」と、ズボラでも続く「月1回の入力ルーティン」を解説します。確定申告の時期に慌てない準備を、ここで終わらせましょう。
スプレッドシート帳簿の全体像:必要なシートは3つだけ
最小構成はこれで十分です。
- ①売上シート:入金(売上・収入)を記録
- ②経費シート:支出(必要経費)を記録
- ③月次集計シート:月ごとの合計を自動集計
※手書き派の人へ:ノートでも項目は同じ。ただし…
大学ノート手書きでも「日付・相手・内容・金額・証拠」の項目が揃っていれば運用はできます。
ただ、手書きは集計ミス・転記ミスが起きやすいのが弱点です。
スマホのスプレッドシートアプリなら、移動中に入力できて、合計も自動。アナログ派ほど、入力だけデジタルにすると一気にラクになります。
【テンプレ】売上(収入)シート:最低限の項目
売上は「入金の事実」を中心に記録します。おすすめ列はこの8つです。
| 列名 | 例 | ポイント |
|---|---|---|
| 日付(入金日) | 2026/01/10 | まずは入金で揃えると照合が楽 |
| 発生日(完了日) | 2025/12/25 | 年またぎ対策用(後述) |
| 取引先/媒体 | クラウドソーシングA | 後で探せる名前にする |
| 内容 | 記事作成3本 | 何で稼いだかが分かる |
| 金額 | 30000 | 税込/税抜が混ざるなら備考にメモ |
| 手数料 | 3000 | プラットフォームなら分けておくと後で迷わない |
| 入金額 | 27000 | 振込額(差額の正体が分かる) |
| 備考(証拠) | 支払明細URL | 証拠の置き場所を一言で |
売上で初心者がやりがちなミス
- 「請求日」「納品日」「入金日」が混ざって、年末に合わなくなる
- 手数料が引かれた振込額だけを書いて、総額が分からなくなる
※超重要:12月の「年またぎ(期ズレ)」だけは例外になりやすい
記事の前半では「まず入金日ベースで統一すると楽」と言いましたが、ここに例外があります。
原則として、確定申告では“仕事が完了した年(発生主義)”で売上を計上する考え方になります。
そのため、たとえば12月に納品・完了した仕事が、1月に入金される場合、入金だけ見ていると「今年の売上に入れ忘れる」期ズレが起きます。これは税務で指摘されやすいミスの一つです。
おすすめの超シンプル対策はこれ。
- 普段は「入金日」をメインで記録してOK
- 12月分だけは「発生日(完了日)」列を必ず埋める
- 年末に「発生日が12月なのに入金日が1月」の行を拾って、年内売上に含める
つまり、運用を変えるのではなく、列を1本増やして年末だけチェックが最強です。
【テンプレ】経費シート:最低限の項目
経費は「説明できる状態」がいちばん大事です。おすすめ列はこの9つです。
| 列名 | 例 | ポイント |
|---|---|---|
| 日付 | 2026/01/08 | 支払日で統一 |
| 支払先 | Adobe | 明細と照合しやすく |
| 内容 | 編集ソフト月額 | 用途が分かる言葉で |
| カテゴリ | ソフト/サブスク | あとで集計しやすい(10種類以内) |
| 金額 | 3280 | 税込/税抜が不明なら備考にメモ |
| 支払方法 | クレカ | 明細探しが楽 |
| 仕事利用 | 30% | 混ざる支出は割合で(按分) |
| 仕事分金額 | 984 | 金額×仕事利用(ここを合計する) |
| 証拠の場所 | Drive/2026/01/Adobe.pdf | 領収書・注文履歴・明細URLなど |
カテゴリは「細かくしすぎない」が正解
おすすめカテゴリ例(10個以内)
- ソフト/サブスク
- 消耗品
- 外注費
- 通信費(按分)
- 交通費
- 書籍/学習
- 手数料
- 機材(メモ必須)
- 打合せ
- その他
【テンプレ】月次集計シート:月1で「売上−経費=所得」を出す
月次集計は難しくしないのがコツです。
| 月 | 売上合計 | 経費合計(仕事分) | 所得(売上−経費) | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 2026/01 | (自動) | (自動) | (自動) | 未入金あり 等 |
数字が苦手でも迷わない公式
売上(収入) − 経費 = 所得
副業初期は、毎月この式を1回出せれば勝ちです。
【コピペOK】スプレッドシート関数リスト(自動化セット)
ここからは「数式が苦手」でもコピペで動くように、よく使う関数をまとめます。
※Googleスプレッドシート想定。Excelでもほぼ同じですが、関数名や区切り(, / ;)が環境で違うことがあります。
前提:列の例(シート名)
- 売上シート:A=入金日、B=発生日(完了日)、E=金額、F=手数料、G=入金額
- 経費シート:A=日付、D=カテゴリ、E=金額、G=仕事利用(%)、H=仕事分金額
1) 仕事分金額(按分)の自動計算
経費シートのH2に入れて下へコピー:
=IF(E2="","",ROUND(E2*G2,0))
※G2は「30%」のように%で入れる想定(0.3でもOK)
2) 月のキー(YYYY-MM)を作る(集計用)
売上・経費それぞれに「月」列を追加すると集計がラクです。例:売上シートのH2(入金日の月)
=TEXT(A2,"yyyy-mm")
経費シートのI2(支払日の月)
=TEXT(A2,"yyyy-mm")
3) 月別の売上合計(入金日ベース)
月次集計シートで、A列に「2026-01」など月キーがある想定。B2(売上合計)
=SUMIF(売上!H:H, $A2, 売上!E:E)
4) 月別の経費合計(仕事分)
C2(経費合計)
=SUMIF(経費!I:I, $A2, 経費!H:H)
5) 所得(売上−経費)
D2(所得)
=B2-C2
6) カテゴリ別の経費合計(例:通信費だけ見たい)
月を問わずカテゴリ合計:
=SUMIF(経費!D:D, "通信費(按分)", 経費!H:H)
7) 年またぎチェック(12月完了→1月入金を抽出する考え方)
スプレッドシートで“抽出リスト”を作りたい場合(売上シートに発生日B、入金日Aがある想定):
- 発生日が12月(2025-12)
- 入金日が翌年1月(2026-01)
の行を探すには、補助列で月キーを作ってチェックするのが簡単です。
売上シートに「発生月」列(例:I2)を追加:
=TEXT(B2,"yyyy-mm")
次に「入金月」H列(既に作った想定)とI列を見比べ、年末に
- I列が「前年12月」
- H列が「翌年1月」
の行を拾って、年内売上に含める、という運用にします。
(関数で完全自動化もできますが、初心者は“年末だけ目視チェック”が一番事故りません)
初心者が続く「運用ルール」:月1締め+証拠1フォルダ
ルール1:入力は“月1固定”が最強
おすすめは月1(例:毎月25日)。
- 売上:今月の入金履歴を入力
- 経費:クレカ明細とレシートを入力
- 保留:迷うものは保留欄へ
ルール2:証拠は「年度→月」フォルダに放り込む
領収書・注文履歴・明細URLなどは、形式バラバラでOK。とにかく集約します。
- Drive/副業/2026/01/
- ファイル名:2026-01-08_Adobe_3280.pdf
紙レシートは月ごとに封筒でまとめるだけでも十分です。
ルール3:迷う経費は「保留」で止まらない
経費判断で止まると帳簿は終わります。経費シートに「判定(OK/保留)」列を追加しましょう。保留は“あとで相談する箱”です。
よくある失敗6選と回避策
失敗1:年末(12月)だけ売上がズレる
回避策:売上シートに「発生日(完了日)」列を追加し、12月だけ必ず埋める。年末に「12月完了→1月入金」を拾う。
失敗2:売上を入れ忘れる(入金が分散)
回避策:売上は「振込口座の入金履歴」か「支払履歴」のどちらかに寄せ、月1で必ずチェック。
失敗3:レシートを捨てる/見つからない
回避策:紙は封筒、データは月フォルダ。これだけで勝てます。
失敗4:カテゴリを作りすぎて入力が止まる
回避策:カテゴリは10個以内。「その他」を残す。
失敗5:私用と混ざる支出(スマホ・ネット等)で詰む
回避策:割合(例:30%)と根拠メモを残す。完璧より、説明できる基準。
失敗6:年末にまとめてやろうとして爆発
回避策:月1固定日。副業が小さいほど“今すぐ5分”で終わります。
すぐできるチェックリスト(今日から運用できる)
- 売上・経費・月次集計の3シートを作った
- 売上に「発生日(完了日)」列を追加した(12月の期ズレ対策)
- 経費に「仕事利用(%)」と「仕事分金額」列を作った
- 証拠フォルダ(年度→月)を作った
- 月1締め日を決めた(例:毎月25日)
- 保留欄(OK/保留)を作って止まらない仕組みを入れた
まとめ:スプレッドシート帳簿は「年末だけ注意して、あとは続ける」
副業初心者がスプレッドシートで帳簿を付けるなら、目標は“完璧な会計”ではありません。
- 売上を漏らさない
- 経費は説明できる形で残す
- 月1で「売上−経費=所得」を出す
そして、リスクを減らす最重要ポイントは12月の年またぎ(期ズレ)です。普段は入金日で管理しつつ、12月分だけ発生日(完了日)を押さえる。これだけで事故が激減します。
細かい判断(経費の範囲、保存期間、申告要否など)は個別事情で変わるため、迷ったら公式情報・専門家に確認しながら、安全に進めましょう。
次にやること(3ステップ)
- ステップ1:テンプレ通りに「売上・経費・月次集計」3シートを作り、売上に「発生日」列を追加する(15分)
- ステップ2:関数をコピペして、仕事分金額と月次集計を自動化する(15分)
- ステップ3:証拠フォルダを作り、月1締め日をカレンダーに登録して回し始める(10分)
