導入:メルカリ仕入れって違法?「仕入れ自体」ではなく“古物商の義務を果たせるか”が論点です
「メルカリで仕入れて売るのって、違法じゃないの?」
「古物商許可を持っていれば、フリマ仕入れも堂々とOK?」
フリマ仕入れは、ネット上でよく「グレー」と言われます。でも本質はシンプルで、問題になりやすいのは仕入れる行為そのものではなく、あなたが古物商(許可業者)として中古品を買い受ける際に求められる本人確認(相手方確認)と帳簿(取引記録)の作成・保存を満たせるかどうかです。
特に匿名配送は、相手の住所・氏名が分からない設計なので、義務を満たせずに詰まりやすいのが現実です。この記事では「じゃあどうすれば安全に考えられるの?」まで、初心者向けに手順として解説します(法的助言ではなく一般情報です。不安な点は管轄警察署や専門家に確認してください)。
結論:フリマ仕入れは“OK/NGの二択”ではない。本人確認と帳簿を現実に回せる取引だけに寄せる
結論を先に言うと、フリマ仕入れは「やっていい・ダメ」の二択ではなく、あなたの取引が古物営業に当たる前提で、本人確認と帳簿義務を満たせるかで判断します。
- 満たせる取引:相手方の確認ができ、帳簿に必要事項(相手の住所・氏名等、確認方法、古物の特徴など)を記録・保存できる
- 満たせない取引:匿名配送で相手情報が取れない/本人確認が規則の方法でできない/帳簿を残せない
そして多くの初心者がつまずくのが「匿名配送」と「非対面本人確認のやり方」です。ここを押さえるだけで、フリマ仕入れのリスクはかなり整理できます。
なぜ「フリマ仕入れはグレー」と言われるのか:論点はこの2つだけ
混乱しがちですが、論点は2つに絞れます。
- 論点1:あなたの活動は古物営業(継続的な中古品の売買)に当たるか
- 論点2:当たるなら、フリマ取引の形で本人確認(相手方確認)と帳簿義務を実務として回せるか
「みんなやってるから大丈夫」ではなく、法律上の義務を満たせる取引構造かがポイントです。
古物商が押さえるべき基本:本人確認(相手方確認)と帳簿(取引記録)
本人確認(相手方確認):非対面は“決められた方法”でやる必要がある
フリマは基本的に非対面(オンライン)です。非対面取引では、警視庁や各府県警が「こういう方法で確認する」と具体例を示しており、単に身分証の画像を送ってもらうだけでは足りない旨も明記されています。
帳簿(古物台帳):取引の都度、記録して保存(紙でも電子でも)
古物商は取引の記録を残し、一定期間保存する義務があります。多くの警察資料でも「帳簿又は電磁的方法により記録して保存」と案内されています。
重要:電子(Excel/スプレッドシート等)でもOK。ただし“すぐに見せられる状態”が条件
法律上、帳簿は営業所に備え付けて保存するか、電磁的方法による記録を“直ちに書面に表示できるようにして”保存することが求められています。つまり、Excelやスプレッドシートで管理するなら、立入(確認)等の場面でその場で表示・印刷できる状態にしておくのが安全です。
フリマ仕入れ最大の壁:匿名配送だと「相手情報」と「確認の整合」が取りにくい
匿名配送は便利ですが、古物商の義務という観点では難所です。なぜなら帳簿には一般に取引相手の住所・氏名等や真偽確認の方法を記録することが求められるからです。
安全側の考え方:匿名配送前提の仕入れは、原則“見送る”が無難
初心者が「違法が不安」なら、最初はここをルールにするのがおすすめです。
- 匿名配送=相手情報が取れない取引は、原則仕入れない
- どうしても仕入れるなら、非対面本人確認の方法を実装できる取引だけに限定する
- 相手が協力しない(確認のための手続きに同意しない)取引は見送る
「グレー」と言われる多くのケースは、ここ(匿名配送+本人確認の実装不可)に集約されます。
【実務の肝】非対面本人確認の“現実的な代替案”:本人限定受取郵便等を使う方法
「じゃあフリマ仕入れは諦めるしかないの?」という人向けに、正攻法の選択肢を整理します。警視庁の案内では、非対面の本人確認方法として複数手段が示されています(電子署名、印鑑登録証明書+押印書面、本人限定受取郵便物等…など)。
個人でも比較的運用しやすいのが「本人限定受取郵便物等+到達確認」
現場感として、個人が“回しやすい”寄りの方法が本人限定受取郵便物等を送付し、到達を確かめる方法です。警視庁のページでも、本人限定受取郵便物等を送付して到達確認する例が示されています。
やり方(イメージ):相手に協力してもらう必要がある
一例として、説明に沿う形で噛み砕くと次の流れです。
- Step1:相手に「住所・氏名・職業・年齢」の申出をもらう(メッセージ等)
- Step2:あなた(古物商)が相手の住所宛に、本人限定受取郵便物等を送る
- Step3:相手が受け取り後、受付番号等で受領(到達)を確認できる連絡をもらう(メールや電話など)
- Step4:帳簿に、相手情報と「本人限定受取郵便物等による到達確認を行った」旨を記録する
注意点:コストと手間が増える/相手の同意が必須
本人限定受取郵便等は、当然ながら送料・手数料がかかり、相手も受取時に本人確認書類提示等が必要になります。フリマ仕入れは「手軽さ」が魅力ですが、この方法は真逆で、相手の協力が得られないと成立しません。だからこそ、現実的には「高単価・継続取引の相手」以外では難しいケースも多いです。
すぐ使える“お願い文テンプレ”(メッセージ例)
フリマ相手に送るメッセージは、誤解を生まない表現が大切です(強要はNG)。例えばこんな文面が無難です。
- 「古物営業法の規定により、取引のために本人確認が必要です。お手数ですが、本人限定受取郵便で書類をお送りしますので、受け取り可能でしょうか。受領後に受付番号をご連絡いただく形になります。」
この時点で相手が嫌がるなら、その取引は見送る判断が安全です。
帳簿(古物台帳)はスクショ保存でもOK?:結論、電子管理は可能だが“条件付き”で考える
結論:Excel・スプレッドシート等の電磁的記録は認められている。ポイントは「即時に書面表示できること」
法律上、帳簿は紙で備え付ける方法のほか、電磁的方法による記録で保存することも想定されています。ただしその場合、営業所で直ちに書面に表示できるようにして保存する必要があります。
「スクショだけ保存」はおすすめしない(検索性と網羅性が弱い)
スクリーンショットは「補助資料」としては有用ですが、帳簿義務の実務としては次の理由で弱くなりがちです。
- 取引の都度、必要項目を漏れなく記録しにくい
- 検索・抽出が難しく、提示に時間がかかる
- 改ざん・欠落の疑いを持たれやすい(運用上の印象)
安全に運用するなら、Excel/スプレッドシートを台帳の本体にして、スクショや取引画面は「証拠の補助」としてフォルダ保存、が現実的です。
電子台帳運用のチェックポイント(最低限)
- 必要項目が揃っている(取引日、品目・数量、特徴、相手情報、確認方法など)
- 営業所で即表示できる(PCで開ける/印刷できる/権限がある)
- バックアップがある(クラウド+ローカルなど二重化)
フリマ仕入れをするなら:安全側に倒す判断フロー(初心者用)
Step1:まず「匿名配送前提の仕入れ」をルールで切る
違法が不安な初心者ほど、ここを最初の安全装置にするとブレません。
- 匿名配送しか選べない取引は見送る
- 相手情報の確認が可能で、本人確認の方法を実装できる取引だけに絞る
Step2:本人確認は“運用できる方法だけ”採用する
非対面本人確認には複数の方法が示されていますが、個人が現実に回せるかは別問題です。迷うなら、管轄警察署に「この方法で運用したいが問題ないか」を確認するのが確実です。
Step3:台帳は最初から電子で作り、いつでも提示できる形にする
Excel/スプレッドシートで台帳テンプレを作り、取引の都度入力。必要なら印刷してファイル保管、という形にすると「提示できない」事故が減ります。
代替案:フリマ仕入れが難しいなら「本人確認済みの仕入れ先」に寄せる
フリマ仕入れは、本人確認の実装が重くなるほど“うまみ”が減ります。そこで出口として、次のルートを用意しておくと行動が止まりません。
代替1:古物市場(業者間オークション)
古物市場は、業者同士の取引が前提で、仕入れのルールが整っていることが多いです(参加条件等は市場ごとに異なります)。「フリマで相手情報が取れない」問題を避けやすい選択肢です。
代替2:許可業者の買取・卸・リサイクル店
許可業者からの仕入れは、取引の形が明確で記録も取りやすい傾向があります。初心者が“安全に始める”なら、最初はこうしたルートを混ぜるのが堅いです。
代替3:自分の不用品販売→利益→仕入れへ(段階を踏む)
いきなりフリマ仕入れに行かず、まずは家の不用品で販売経験を積み、台帳運用に慣れてから仕入れに移ると、失敗しにくいです。
よくある失敗5選と回避策(フリマ仕入れ×古物商)
失敗1:匿名配送でも「大丈夫でしょ」と仕入れてしまう
回避策:相手情報が取れない取引は原則見送る。本人確認と台帳の整合が取れないなら、リスクが高いです。
失敗2:本人確認を「身分証スクショを送ってもらう」で済ませる
回避策:非対面本人確認は、警察が示す方法に沿って運用する。本人限定受取郵便物等による到達確認など、手段を決めて実装する。
失敗3:台帳を付けない/後回しにして記録が欠ける
回避策:台帳テンプレを先に作り、取引ごとに必ず入力。電子で管理するなら即表示できる状態にする。
失敗4:「スクショだけ保存」で台帳代わりにする
回避策:台帳はExcel/スプレッドシート等で“必要項目を網羅”して管理。スクショは補助資料に留める。
失敗5:相手が不審でも「安いから」で突っ込む
回避策:相場より極端に安い、説明が薄い、同一商品大量などは避ける。盗品リスクの芽がある取引は見送るのが安全です。
すぐできるチェックリスト:フリマ仕入れを「見送る/進める」の判断項目
- この仕入れは、相手方の住所・氏名等を確認し、台帳に記録できる形か
- 匿名配送で相手情報が取れないなら、原則見送れるか
- 非対面本人確認の方法を“運用として回せる”か(本人限定受取郵便等)
- 台帳(電子の場合)は、営業所で即表示・印刷できる状態か
- 相手が本人確認手続きに同意しない場合、仕入れをやめられるか
まとめ:フリマ仕入れは「匿名配送が壁」。やるなら本人限定受取郵便等+電子台帳で“義務を回す設計”が必要
フリマ仕入れは、仕入れ行為そのものよりも、古物商としての本人確認(相手方確認)と帳簿(取引記録)を満たせるかが核心です。非対面本人確認には複数の方法が示されていますが、個人が運用しやすい手段の一つとして本人限定受取郵便物等を送付し到達確認する方法があります(相手の同意・コストが必要)。
また台帳は紙だけでなく電子でも管理できますが、電子の場合は営業所で直ちに書面表示できる状態が重要です。
「そこまでやるならフリマで仕入れる意味が薄い」と感じるなら、古物市場や許可業者ルートなど、本人確認・記録が取りやすい仕入れ先に寄せるのが安全です。
次にやること(3ステップ)
- ステップ1:自分の仕入れが古物営業に当たりそうか整理し、不安なら管轄警察署に相談する
- ステップ2:フリマ仕入れをするなら「匿名配送は原則見送り」「本人限定受取郵便等で本人確認を回せる取引のみ」に絞る
- ステップ3:古物台帳をExcel/スプレッドシートで作り、営業所で即表示・印刷できる形で運用を開始する
