APIとは?初心者向けに「できること・できないこと」を実務目線で解説

この記事で分かること

API入門で大事なのは、定義を暗記することよりも「APIでできること/できないこと」を実務目線で線引きできるようになることです。

結論から言うと、APIは「公式が用意した“安全な窓口”」です。スクレイピングと違って、利用規約・認証(トークン)・レート制限などのルールが最初から設計されているため、初心者が「安全に取る」発想を身につけるのに向いています。

この記事では、次のことが分かります。

  • APIとは何か(REST / JSON / エンドポイントを実務の言葉に翻訳)
  • スクレイピングとの違い(安全・規約・保守の観点)
  • APIでできること・できないこと(「API 取得できない」の理由が分かる)
  • 認証(トークン)とレート制限の考え方
  • 副業・自動化で失敗しない始め方(手順書)

なぜ「API 入門」でつまずく人が多いのか

副業エンジニア初心者がAPIでつまずく理由は、技術というより用語と期待値のズレにあります。たとえば「API=データを取れる魔法」だと思って触ると、いきなり壁に当たります。

代表的なズレはこの3つです。

  • APIは何でも取れると思っている → 実際は「公式が許可した範囲」だけ
  • URLを叩けばOKと思っている → 実際は「認証(トークン)」「権限(スコープ)」「レート制限」がセット
  • スクレイピングと同じだと思っている → 実際は「規約・安定性・保守性」が別物

APIの学習で重要なのは、HTTPやJSONの暗記よりも、「ルールのある窓口を、ルール通りに使う」という感覚です。ここが腹落ちすると、用語が苦手でも実務で困りにくくなります。

APIとは?一言でいうと「公式の窓口」

API(Application Programming Interface)は、実務目線で言い換えると「外部サービスにお願いするときの公式な窓口」です。

あなたが「カレンダーに予定を追加したい」「SNSの投稿一覧を取得したい」「決済の支払い状況を確認したい」と思っても、外部サービスの内部データベースに直接アクセスすることはできません。そこでサービス側が用意した“受付窓口”に、決まった形式でリクエストを送る。その仕組みがAPIです。

  • あなた(クライアント)は、APIに「これをください」と頼む
  • APIは「ルールを確認(認証・制限)」してからサービス内部へ取り次ぐ
  • 返ってきた結果(多くはJSON)をあなたに返す

APIの基本用語(初心者はこの5つだけでOK)

初心者が最初に押さえるべき要素は、まずこの5つだけで十分です。

  • エンドポイント:お願い先のURL(例:/users, /posts)
  • HTTPメソッド:何をしたいか(GET=取得、POST=作成、PUT/PATCH=更新、DELETE=削除)
  • JSON:送る/返ってくるデータの代表的な形式
  • 認証:あなたが誰かを示す仕組み(APIキー、トークン、OAuthなど)
  • レート制限:短時間に叩ける回数の上限(やりすぎ防止)

これを押さえるだけで、「APIを叩く」と言われたときの地図が頭にできます。

スクレイピングとの違い:初心者は「まずAPIで安全に取る」

「スクレイピングとAPIの違いが分からない」は定番の悩みです。結論、実務目線の違いはこうです。

API:公式が用意した“ルール付きの窓口”

  • 取得できるデータや操作が明確(仕様がドキュメント化されている)
  • 認証やレート制限があり、安全に使える設計
  • 仕様変更はあり得るが、HTMLよりは安定しやすい
  • 利用規約に沿って使えば、運用のリスクを下げやすい

スクレイピング:画面(HTML)を“読んで抜き出す”

  • 対象はWebページのHTML(見た目や構造が変わると壊れやすい)
  • 規約やrobots.txt、アクセス負荷に配慮が必要
  • ログインが必要なページなどは特にリスクが上がる
  • 「公開されている=何をしても良い」ではない(規約確認が重要)

図解:APIは「パイプ」、スクレイピングは「壁よじ登り」

  • 公式APIがある? → あるならまずAPI
  • 公式の代替(RSS/エクスポート/CSV/埋め込み)がある? → それも検討
  • どうしても必要で、規約上も問題がない範囲でのみ → スクレイピング(最小限・低負荷)

「安全に取る」発想とは、つまり“相手が用意した出口(API)から取る”ということです。

APIでできること:実務でよくある5パターン

APIでできることは、ざっくり次の5つに分類できます。副業の自動化は、たいていこのどれかに当てはまります。

1)データの取得(一覧・詳細・検索)

例:顧客リスト、注文履歴、投稿一覧、カレンダー予定など。
多くのAPIは「GETで取得」からスタートします。ここで覚えるべきは「必要なものだけ取る」こと。フィルタやページネーション(後述)を使えると、負荷やレート制限に強くなります。

2)データの作成(登録)

例:フォーム回答をスプレッドシートに登録、顧客情報をCRMに追加、チケットを作成。
「POSTで作成」が基本です。ここで必要になるのが認証(トークン)で、「誰が作ったか」をAPI側が判断できる仕組みです。

3)データの更新(ステータス変更・編集)

例:タスク完了、注文ステータス更新、メモ追記。
業務自動化で価値が出やすい領域です。「更新できる=手作業の置き換え」が進むので、副業でもニーズが出やすいです(収益を保証するものではありません)。

4)削除(取り消し・無効化)

例:テストデータの削除、不要レコードの無効化。
ただし実務では「削除」より「無効化(アーカイブ)」を推奨するサービスも多いです。取り返しのつかない操作になりやすいので、初心者は特に慎重に扱うべき領域です。

5)イベント連携(Webhook)

例:「新しい注文が入ったら通知」「フォーム送信があったら処理」。
APIは「取りに行く」だけでなく、相手から“来る”形もあります。これがWebhookです。常に取りに行く(定期取得)より効率的なことが多く、レート制限にも強い設計になります。

【注意】APIなら何でも取れるわけではない(API 取得できないの理由)

ここが一番重要です。APIは便利ですが、万能ではありません。実務でトラブルになりやすい「できないこと」を先に押さえると、無駄な遠回りが減ります。

1)公式が公開していない情報は取れない

APIで取得できるのは、あくまでサービス側が「この範囲なら提供して良い」と決めたデータだけです。
画面に表示されている情報でも、APIとして提供されていないことは普通にあります。つまり「画面にある=APIで取れる」ではありません。ここがAPI 取得できないの一番多い理由です。

2)他人の権限が必要な操作はできない(=認証と権限がすべて)

APIは「誰が何をしていいか」を厳密に管理します。ログインが必要なデータや、管理者だけができる操作は、適切な認証と権限(スコープ)がない限りできません。

初心者のあるあるは「トークンを入れたのに403(権限なし)」です。これは壊れているのではなく、「そのトークンでは許可されていない」という意味です。

3)レート制限を突破して大量取得はできない(やるべきでもない)

レート制限は「サービスを守るためのルール」です。突破する発想ではなく、守りながら設計するのが実務です。大量取得したいなら、ページネーション、差分取得(更新日時で絞る)、Webhook、キャッシュなどで回避します。

4)利用規約を無視した使い方はできない(副業ほど危険)

APIは「技術的にできるか」以前に「規約上許されるか」が重要です。副業では、規約違反が原因で停止・差し戻しになったときのコストが大きいです。

この記事は法的助言ではありませんが、少なくとも利用規約・ドキュメントの“禁止事項”を読むことは、安全に作るための必須作業です。

REST・JSON・エンドポイント:用語を実務の言葉に翻訳

用語が苦手でも大丈夫です。実務で困らない最低限を「翻訳」します。

RESTとは?「リソース(対象)をURLで表す約束」

厳密な定義は深いですが、Web APIの現場では次の理解で十分です。

  • リソース:データの対象(例:users, posts, orders)
  • エンドポイント:対象の場所(例:/users、/orders/123)
  • メソッド:やりたいこと(GET/POST/PATCH/DELETE)

つまりRESTは、「何に」「何をする」をURLとメソッドで表す約束事です。

JSONとは?「データの箱(よく使う形式)」

JSONはAPIの返り値でよく使われるデータ形式です。見た目はこういう感じです。

{ "id": 123, "name": "Sample", "status": "active" }

人間にも比較的読みやすく、プログラムでも扱いやすいので定番です。

エンドポイントとは?「お願い先の住所」

「このURLにGETすると一覧が返る」「このURLにPOSTすると作れる」のように、APIの入口になります。初心者はまず、どのエンドポイントに何を送ると何が返るかを、ドキュメントで確認する癖をつけるのが最短です。

認証(トークン)入門:APIが“本人確認”をする理由

APIでよく出てくるのが認証です。理由はシンプルです。

  • 誰でも自由に叩けると、悪用される
  • ユーザーごとに「見せていいデータ」が違う
  • アクセス量を管理したい(レート制限とも関係)

よくある認証方式(初心者はこの3つから)

  • APIキー:サービスが発行する鍵。簡単だが漏洩に注意
  • Bearerトークン:HTTPヘッダーに付ける“通行証”。実務でよく見る
  • OAuth:他サービスのアカウントで許可を出す仕組み(「Googleでログイン」の裏側)

トークン運用で初心者が守るべきこと

  • トークンをコードに直書きしない(GitHubに上げると事故りやすい)
  • .env(環境変数)で管理して、.envはコミットしない
  • 権限(スコープ)を最小にする(必要な操作だけ許可)
  • 漏れたら即ローテーション(発行し直し・古いものは失効)

「鍵は秘密にする」が徹底できれば、APIはかなり安全に扱えます。

レート制限とは?「優しく使うための上限」

レート制限(Rate Limit)は「一定時間あたりのリクエスト回数の上限」です。初心者はこれを“敵”として捉えがちですが、実務では味方です。無茶な設計を止めてくれます。

レート制限で詰まる典型パターン

  • 1件ずつ詳細を取りに行って、合計リクエストが爆増する
  • 定期実行を短すぎる間隔で回す
  • エラー時のリトライが無限ループになり、さらに叩いてしまう

対策の基本(初心者はこれだけでOK)

  • 一覧取得でまとめて取る(必要なら1回で多めに取る)
  • 差分取得(更新日時やIDで「増えた分だけ」取る)
  • キャッシュ(同じデータを何度も取りに行かない)
  • 指数バックオフ(失敗したら少し待って再試行。連打しない)
  • Webhookがあるなら使う(イベントで来る)

「取る回数を減らす設計」ができると、実務っぽさが一気に上がります。

具体例:副業初心者が“安全に取る”自動化を作る流れ

状況を1つ設定します。

状況:副業エンジニア初心者。クライアントから「問い合わせが来たらSlackに通知して、スプレッドシートにも残したい」と言われた。スクレイピングは怖いので、公式APIでやりたい。

やることは「APIをつなぐ」に分解できる

この自動化は、次の3つに分けるとシンプルです。

  • 問い合わせツールからデータを受け取る(Webhookがあると最強)
  • SlackのAPIで投稿する
  • スプレッドシートのAPIで行を追加する

ここで大事なのは、「画面を読む」ではなく「公式の窓口に送る」ことです。これが“APIで安全に取る”の基本発想です。

実務での進め方(初心者はこの順で迷わない)

  • Step1:公式APIの有無を確認(「サービス名 + API」で探す)
  • Step2:利用規約・禁止事項をざっくり読む(最低でも「禁止」「制限」「商用」あたり)
  • Step3:認証方式を確認し、トークンを発行する
  • Step4:APIテストツール(curl / Postman等)で1回成功させる
  • Step5:本実装(エラー処理・ログ・リトライ・レート制限対策を入れる)

「いきなりコードを書く」より、まず1回成功を作るのが最短です。

よくある失敗5選と回避策(実務目線)

失敗1:APIが返すデータ量を考えず、無限に取得してしまう

回避策:ページネーション(次のページを取りに行く仕組み)を前提に設計します。「一覧取得=全部が一気に返る」と思わないこと。まずは「最新50件だけ」のように絞ると安全です。

失敗2:レート制限に引っかかって止まる

回避策:リクエスト回数が増えないように、まとめて取る/差分だけ取る/Webhookに寄せる。さらにエラー時は連打せず、待って再試行する設計にします。

失敗3:トークンをGitHubに上げてしまう

回避策:トークンは.env(環境変数)で管理し、.envはコミットしない。公開リポジトリに上げるなら特に慎重に。漏れたら即失効・再発行が基本です。

失敗4:403/401エラーで詰まる(認証・権限ミス)

回避策:まずこの理解でOKです。

  • 401:認証できていない(誰か分からない)
  • 403:認証はできたが権限が足りない(許可されない)

確認順はこうです。

  • トークンが正しいか
  • ヘッダーの付け方が合っているか(Bearerなど)
  • スコープ(権限)が足りているか

「APIが壊れている」と考える前に、自分の権限設定を疑うのが近道です。

失敗5:スクレイピングで代用して、保守地獄になる

回避策:まず公式APIや代替手段(RSS/エクスポート)を探す。それでも必要な場合は、規約確認・低負荷・最小限・変更に強い設計(HTML依存を減らす)を意識します。副業では「動いたけど来月壊れた」が一番コストが高いです。

すぐできるチェックリスト:APIで安全に取るための確認項目

初心者はこのチェックリストを埋めるだけで、事故率が下がります。

  • 公式API(公式ドキュメント)がある
  • 利用規約の「禁止」「制限」「商用」あたりを最低限読んだ
  • エンドポイント(URL)とメソッド(GET/POST等)を確認した
  • レスポンス形式(JSONなど)を把握した
  • 認証方式(APIキー/トークン/OAuth)を確認し、トークンを安全に保管した
  • レート制限の存在を把握し、回数が増えない設計にした
  • エラー時の挙動(リトライ、ログ、通知)を決めた
  • テスト環境(サンドボックス)があるなら優先的に使う

向いている人/向いていない人(API自動化の相性)

API自動化が向いている人

  • 同じ作業を繰り返していて、手作業を減らしたい
  • 公式のルール(認証・制限)を守って作りたい
  • データを「取る」だけでなく「送る(登録/通知)」もやりたい

API自動化が向いていない人(今は別ルートが早い)

  • 目的が曖昧で「とりあえずAPIを触りたい」だけ(まずは小さなゴールが必要)
  • 規約を読むのが完全に苦痛で、確認作業が続かない(副業ほどリスクになる)
  • 対象サービスがAPIを提供しておらず、代替手段もない(設計の工夫が必要)

ただし「向いていない」は永久ではありません。最初に小さく成功すると、自然に慣れます。

まとめ

APIは、初心者にとって「用語が難しいもの」ではなく、実務目線では公式が用意した安全な窓口です。スクレイピングと違い、認証・レート制限・規約などのルールが最初からあるため、副業の自動化で事故を減らすのに向いています。

重要ポイントを整理します。

  • APIは「公式の窓口」。できる範囲は公式が決めている
  • スクレイピングより安定しやすいが、認証・権限・レート制限がセット
  • APIなら何でも取れるわけではない(非公開データ・権限外・規約NGは無理)
  • 実務の進め方は「規約→認証→1回成功→エラー処理と制限対策」

次にやること(3ステップ)

  • ステップ1:自動化したい対象を1つ決めて「公式APIがあるか」を調べる(まずは1サービス)
  • ステップ2:ドキュメントで「エンドポイント」「認証」「レート制限」を確認し、APIテストで1回だけ成功させる
  • ステップ3:本実装では「トークンを.env管理」「差分取得/キャッシュ」「エラー時の待機リトライ」を入れて安全に運用する

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