フリー素材 商用利用の確認方法|「3点セット」で事故を防ぐチェックリスト

結論:フリー素材の「商用利用OK」は“3点セット(ライセンス/禁止事項/権利処理)”で確認すれば安全側に寄せられる

「商用利用OK」と書かれているフリー素材なら、クライアント納品物に使っても大丈夫——。そう思って使った素材が、後から権利侵害トラブルにつながるケースは珍しくありません。

理由はシンプルで、多くの素材サイトでいう「商用利用OK」は、主に著作権(ライセンス)の話であり、写り込んでいる人物(肖像・パブリシティ)建物・アート(プロパティ)ロゴ(商標)まで“自動でクリア”になるとは限らないからです。

副業デザイナーが身を守るための最短ルールは、素材を使う前に次の3点を必ずチェックすることです。

  • ライセンス:商用利用の可否/改変の可否/クレジット(表示義務)の有無
  • 禁止事項:単体配布・単体販売・競合サービスへの転用・特定用途の禁止など
  • 権利処理:人物(モデルリリース)/建物・アート(プロパティリリース)/商標(ロゴ・ブランド)

この記事では、フリー素材(写真素材・イラスト)を副業で安全に扱うための確認方法注意点を、チェックリストと手順書に落とし込みます。なお、本記事は一般情報であり、個別案件の適法性や紛争対応を断定するものではありません。迷う場合は、素材の差し替え/権利者やクライアントへの確認/必要に応じて専門家への相談を検討してください。

なぜ「フリー素材 商用利用」で失敗が起きやすいのか

フリー素材の事故は「知識不足」より、確認の抜けで起きます。特に副業だと、納期が短くて“つい”が増えるため、確認フローを持っていないと再発します。

  • 「フリー」=無料でも「何でもOK」ではない:サイト独自ライセンスの禁止事項が強い
  • 素材の中身でリスクが変わる:人物の顔/ロゴ/建物・アートが写っていると別権利が絡む
  • 規約は変わり得る:過去にライセンスが変更されたサービスもあり、古い記事の知識のまま使うと危ない

たとえばPixabayは、コンテンツの単体販売・単体配布の禁止や、認識できる商標・ロゴ・ブランドが含まれる場合の商用利用制限などを明確にしています。

つまり「商用利用OKっぽい」だけでは足りません。副業での制作物(広告・LP・SNS投稿・印刷物など)に使う前提なら、毎回同じ確認で判断できる型を持つのが一番ラクです。

まず誤解をほどく:「CC0でも安心」とは限らない

よくある誤解が「CC0なら何でも自由に使っていい」です。CC0は、基本的に著作権(および関連する権利)の放棄を目指す仕組みですが、商標(trademark)やプライバシー/パブリシティ(publicity)など、著作権以外の権利まで消えるわけではありません。

たとえば、写真に人物の顔がはっきり写っていたり、ブランドロゴが大きく写っていたりすると、「画像の著作権」はOKでも、別の権利や規約・トラブルの論点が残ります。だからこそ、この記事では最初から「ライセンス/禁止事項/権利処理」の3点セットで確認する前提にしています。

重要:CC0は著作権の話肖像(プライバシー/パブリシティ)商標などは別問題として残り得ます。

よく出るライセンス3タイプ:読めるようになると迷いが減る

ライセンスはサイトごとに細部が違いますが、初心者がまず押さえるべきは次の3タイプです(安全側の整理です)。

タイプ商用利用クレジット注意点(副業で重要)
CC0(No Rights Reserved)可のことが多い不要のことが多い著作権以外(商標・プライバシー等)は別/無保証の前提
CC BY(表示義務あり)可(条件付き)必要適切なクレジット、ライセンスへのリンク、変更の明示などが求められる
サイト独自ライセンス可のことが多い不要〜推奨単体販売・再配布禁止、競合サービス禁止、ロゴ制限など独自の禁止事項がある(例:Unsplash / Pexels / Pixabay)

Unsplashは、画像を無料でダウンロードして商用・非商用で使え、許可は不要(クレジットは感謝として推奨)という趣旨をライセンスで示しています。

Pexelsも、ライセンス上、無料利用でき、クレジットは必須ではない(推奨)という整理です。

注釈:Pixabayは「昔CC0だった」話が混ざりやすいので要注意

Pixabayは、過去にCC0扱いの文脈で紹介されることがありますが、現在はPixabay独自ライセンス(Pixabay License)の禁止事項を前提に運用するのが安全です(単体配布・単体販売の禁止、商標・ロゴが認識できる場合の制限など)。

さらにPixabayの規約上、過去にアップロードされた一部コンテンツがCC0として扱われる場合がある旨も読み取れるため、なおさら「サイトはこう」と決め打ちせず、その素材ページの表示と最新規約で判断するのが確実です。

クレジット(出典表示)が必要なときの最短ルール

「クレジット不要」の素材も多いですが、CC BYなど表示義務がある場合は必ず従います。CC BY 4.0では、適切なクレジット、ライセンスへのリンク、変更の明示などが求められます。

実務で迷わないためには、Creative Commonsが推奨するTASL(Title / Author / Source / License)を型として覚えておくのが便利です。

  • Title:作品名(不明なら省略されることもある)
  • Author:作者名
  • Source:入手元(作品ページ)
  • License:ライセンス名(+変更した場合は変更の明示)

クレジットが必要なのに省略すると、ライセンス違反になり得ます。逆に、クレジット不要の素材でも、クライアントワークでは「どこから取ったか」を説明できるようにメモしておくと安心です。

禁止事項の見落としが一番危ない:副業で必ず見る5項目

副業で痛いのは「素材が使えない」より「納品後に差し替えが必要になる」ことです。だから禁止事項は、次の5項目だけでも先に確認すると事故が激減します。

1)単体配布・単体販売(スタンドアロン)が禁止されていないか

素材サイトの多くは「素材そのものが主役の商品化」や「ほぼ加工なしでの再配布・販売」を禁止します。Pixabayは、スタンドアロンでの販売・配布を禁止する趣旨を明記しています。

副業でよくある地雷は、素材を貼っただけのテンプレや、素材をほぼそのまま載せたPDFを“商品”として販売するケースです。素材が「主役」になっていないか、規約の言葉と照らして判断しましょう。

2)ロゴ・商標・ブランドが写っている素材の扱い

写真にロゴやブランドが写っていると、著作権とは別に商標やブランドの文脈でトラブルになりやすくなります。Pixabayは、認識できる商標・ロゴ・ブランドが含まれる場合の制限を示しています。

安全策:広告・LP・商品ページでは、ロゴや特徴的なパッケージが写っている素材は避ける/別素材に差し替える/どうしても必要ならクライアントと「使用可否」を確認する(最終判断を勝手に背負い込まない)。

3)人物写真:広告・販促で使うなら特に慎重に

人物が認識できる写真は、用途によってリスクが上がります。大手ストックでは、商用利用のためにモデルリリースが必要になる考え方が整理されています(編集用途素材にはリリースがない、など)。

フリー素材サイトの場合、すべての素材が同水準で権利処理されているとは限らないため、広告のメインビジュアルに顔がドンと出る素材は、避けるか慎重に検討するのが安全側です。

4)建物・アート・私有地:プロパティの権利が絡み得る

建物やアート作品、私有地なども“権利が絡む被写体”になり得ます。副業の制作物では、特に「店舗の宣伝」や「商品・サービスのイメージ訴求」で使うときに注意が必要です。

判断が難しい場合は、建物やアートが強く写っている素材を避ける/抽象的・汎用的な背景に切り替えるなど、素材の選び方でリスクを落とすのが現実的です。

5)規約で「第三者の同意が必要」と書かれている場合がある

素材サイトによっては、商用利用の際に第三者の同意やライセンスが必要になり得る旨を明記し、「必要な許諾の判断は利用者側の責任」と整理している場合があります。Pexelsの利用規約にも、その趣旨が記載されています。

このタイプの規約は、「サイトが全部保証してくれる」前提で動くと危険です。だからこそ、3点セット確認が効きます。

商用利用可の確認方法:この7ステップでほぼ迷わない

ここからは、案件でもポートフォリオでも使える「毎回同じ確認手順」です。Notionにテンプレ化して回すと強いです。

  • ステップ1:素材の入手元を確定(転載まとめサイト経由は避け、公式ページで確認)
  • ステップ2:ライセンス確認(商用利用/改変/クレジット義務)
  • ステップ3:禁止事項確認(単体販売・再配布・競合サービス禁止・用途制限)
  • ステップ4:素材の中身確認(人物の顔、ロゴ、建物・アート、ナンバープレート等)
  • ステップ5:用途を言語化(広告・販促/納品物/SNS投稿/印刷など)
  • ステップ6:クレジットが必要ならTASLで用意(CC BYなど)
  • ステップ7:証跡を残す(利用時点の規約・ライセンスをメモ/保存)

ステップ7は地味ですが重要です。規約は更新され得るため、「使った当時にどう書かれていたか」を説明できる状態にしておくと、後から差し替えが必要になったときに動きやすくなります(ただし、これで法的リスクが消えるという意味ではありません)。

具体例:副業バナー制作で“素材ミス”を防ぐ運用

例として「整体院のInstagram広告バナー」を作るケースを考えます。あなたは制作を受け、納品した画像が広告運用に使われる想定です。これは実務上、ほぼ商用利用です。

  • 人物の顔が大きく写る写真より、手元・背中・シルエットなど特定性が低い素材に寄せる
  • 背景や小物にロゴが写っていないか確認し、写っていれば別素材へ
  • 素材元と作品ID(作品URLや番号)をメモして、後から追えるようにする
  • クライアントには「素材は規約の範囲で使用。必要なら差し替え対応可能」と共有しておく

ここまでやっておけば、後から「この写真どこから?」「広告に使って問題ない?」と聞かれても慌てません。素材は“選び方”でリスクが大きく変わります。

よくある失敗5選と回避策

失敗1:検索画像から拾って出典が追えない

回避策:必ず入手元(公式の素材ページ)に戻り、ライセンスと禁止事項を確認します。出典が追えない素材は、基本的に商用では使わない方が安全です。

失敗2:「クレジット不要」=「何でもOK」と勘違い

回避策:クレジットの有無と、禁止事項(単体販売禁止・ロゴ制限など)は別です。Pixabayの禁止事項のように、クレジットとは別の制限が明確にある場合があります。

失敗3:ロゴ入り素材を広告・LPのメインに使う

回避策:ロゴ・商標は別論点で火種になります。最初からロゴが写っていない素材を選ぶのが最も安全です。

失敗4:人物写真を「推薦・効果」の文脈で使う

回避策:人物が認識できる素材は用途でリスクが上がります。広告・販促では特に慎重に。迷ったら顔が分からない素材に寄せる、抽象素材に切り替える、クライアントと用途確認を行う、の順で安全側に倒しましょう。

失敗5:規約変更を知らずに古い知識で使う

回避策:「このサイトは大丈夫」と固定化せず、必ずその素材のページと最新規約を確認します。特にPixabayのように、過去のCC0情報が混在しやすいサービスは注意が必要です。

副業デザイナーにおすすめの「比較的安全側に寄せやすい」素材サイト3選

「結局どのサイトが安全?」という不安に対して、あくまで“比較的”という前提で、使いやすい選択肢を挙げます(規約は変わり得るため、利用前に必ず最新条件を確認してください)。

1)Unsplash(写真)

商用・非商用で無料利用でき、許可は不要(クレジットは推奨)という整理が分かりやすいです。禁止事項(無加工販売、競合サービス化など)も明記されています。

2)Pexels(写真・動画)

無料利用でき、クレジットは必須ではない(推奨)という整理で、ライセンスページが読みやすいです。一方で「第三者の同意が必要な場合がある」旨の注意もあるため、人物・ロゴなどは特に確認しましょう。

3)写真AC(国内・写真)

国内向け案件で使いやすく、利用規約上、商用利用可・クレジット不要の趣旨が明記されています。加えて、用途や“主役利用”に関する考え方(商品化ライセンス等)も整理されているため、運用ルールを作りやすいです。

おすすめの使い方:素材サイトは増やしすぎず、まずは2〜3サイトに絞って規約の癖を覚えると、確認が速くなります。規約を覚えるほど「探す→確認する→納品する」が安定します。

まとめ:チェックリストと次にやること

フリー素材の商用利用は、「商用利用OK」の一言だけでは判断できません。安全側に寄せるコツは、ライセンス/禁止事項/権利処理(人物・建物・ロゴ)の3点セットで確認し、用途(広告・販促・納品)に照らして判断することです。

また、CC0でも著作権以外の権利(商標・プライバシー/パブリシティ等)が影響し得る点は、最初に押さえておくと事故が減ります。

すぐ使えるチェックリスト(コピペ用)

  • 入手元(公式ページ)を確認した
  • 商用利用/改変/クレジット義務の有無を確認した
  • 単体販売・再配布・用途制限など禁止事項を確認した
  • 人物の顔/ロゴ/建物・アートなど“別権利の火種”を確認した
  • 用途(広告・販促・納品)を言語化して、規約と照合した
  • CC BY等で必要な場合、TASLでクレジットを用意した
  • 利用時点の規約・ライセンスをメモ/保存した

次にやること(3ステップ)

  • ステップ1:よく使う素材サイトを2〜3個に絞り、各サイトの「禁止事項」だけ先に読んで要点をメモする
  • ステップ2:本記事のチェックリストをNotion等に保存し、案件ごとに「素材元・ID・用途・確認日」を記録する
  • ステップ3:人物・ロゴ・建物が絡む素材は“避ける/差し替える”前提で、代替素材もセットで探す習慣をつける

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